
この記事は「mstdn.maud.io Advent Calendar 2020」の4日目の記事となります。 昨日はGirAFFE Beer氏でした。

さて突然ですが、我が家にはペンタブ「Intuos Comic(CTH-690/K1)」がございます。
Amazonの注文履歴によると2017年の9月に購入したとのことで、つまり3年とちょっとは経っていることになります、が……
これまででお絵かき用途に利用したのは6回くらいしかない。もちろん本体裏にある替え芯は全く使っておらず持て余している状態に。(というか存在をつい最近知った)
ということで文鎮にするのもなんだかなあと思い、画力はないけどイラストレーターの気持ちになってみたいので今回はCOM3D2のモデルからイラストを起こす方法を書いていきます。回数を重ねて上手くなりたいですね……
もくじ
やり方
注:この方法はCOM3D2の各種プラグイン系MODの導入を前提としています。
事前準備
COM3D2側
- COM3D2本体(筆者環境は1.45.0)
- MOD導入環境(Sybaris2等)
- AlwaysColorChangeExプラグイン
- 背景透過スクリーンショットプラグイン
- 複数メイド撮影プラグイン
- SceneCaptureプラグイン
- 他、構図作りに必要なプラグイン(PartsEditプラグイン等…)
- LOハイポリモデル(シェイプキーアニメーションプラグインと併用。あると便利)
お絵描き側
- ペンタブレット
- CLIP STUDIO PAINT PRO
- テンキーがついているキーボード(あると便利)
CLIP STUDIO PAINT PRO(以下クリスタ)に関して、一括購入で5,000円。AffinityやPhotoshopより融通が利きまくる機能がたくさん搭載されているので、定期的にお絵描きするなら一括購入して損はないと思います。
また、お絵描きの利便性の向上としてTABMATEの購入を視野に入れていましたが、ホイール部分が破損しやすいという意見が多数見られたので、「お金を出すくらいなら…」とキーボードのテンキー部分で代用。クリスタを持っていれば割とお手頃な値段で買えるんですが、今は様子見で。
おことわり?
今回の3Dモデルからイラストを描く方法ですが、半脱ぎの絵だったりとか、布をつまんでいる・複雑なしわの絵だったりを描くのには向いていません。なのでここでは触れないことにします。ただ、何回か描いているうちに立体が分かってきてなんとなくコツがわかるようにはなるかもしれません。わかりたい。
COM3D2でやること
エディットモードへ
まず、描きたいキャラでエディットモードに入ります。ついでにF7で複数メイド撮影を起動します。

とりあえずいつものエディットの要領で、他のイラストを参考にしつつ体型などを合わせます。ここで参考にしたい絵の設定資料集や原画集などがあるといい感じです。なければPinterestやいちあっぷ等のお絵描き講座を利用して知見を得たりしましょう。
ヒップの値次第でスカートが膨らむので、ここら辺の調節は必須です。色に関しては後でクリスタで吟味することになるので、だいたいでいいです。
Tips:小柄なキャラ・あるいはSDを描きたい
小柄なキャラを描きたいと思うことがあるかもしれません。しかし、COM3D2では極端な小柄体型を作るのにコツが要り、COM3D2の既存のスライダー(要リミッター解除)に加えて、ModsSliderによるスケーリングでの調整がほぼ必須になってきます。6頭身くらいならスケーリング無しでもなんとかなる範囲かもしれませんが……
SD化であれば通常体型のまま構図を決めて、あとはそれを元に妥協で描いたほうが手間ではないのかも?
構図を決める
ポーズを取らせたり、カメラ位置や画角を調整したりします。今回は煽りや俯瞰を考えず、ほぼ正面の向きのイラストを描くこととします。

ここでやっていることは……
- イラストにしたいポーズを取らせ、表情を設定する
- SceneCaptureプラグインでカメラ視野(=画角)を調整する
- PartsEditプラグインで尻尾のボーンを回転させる
- 腕や足の角度を、Altキーで出てくる回転ギズモで微調整する(この際、肩の高さに気を配る)
- 髪の揺れを調整する(A+JIKLで調整、A+@でリセット)
- などなど……
腕や足の回転ギズモはそれぞれ
- Altのみホールドで手首・足首
- Alt+Ctrlホールドで肘・膝関節
- Alt+Shiftホールドで肩・股関節
を動かせます。割と便利なので覚えておきましょう。
自分の身体を使い実際に腕・足を動かしつつ、腕の場合は肩の可動域はどこまでかを確認して肩>肘>手首の順で調節するといい感じです。ちなみに、カメラ視野を35じゃない数値にしていると回転ギズモが極端に反応しづらくなるので注意。
スカートの調整は大体でいいです。この手の3Dモデルだとどうしても繊細な揺らぎが表現できないので、クリスタで実際に描きながら調整を試みましょう。
色々な部分をマスクしつつ、SSを出力する
構図が決まったら、そのポーズを撮影が完了するまで極力動かさないようにし、SceneCaptureプラグインの環境設定>カメラ設定保存 で、不意の操作でカメラがずれてしまったときに復元できるようにします。マウスホイールを動かすと割と動いてしまうので……
一旦すべてのプラグインのUIを非表示にして、まずはそのままの状態で透過スクリーンショット(以下、SS)を撮ります。椅子に座らせていたり、背景も考慮している場合は別途で非透過のSSを撮ると役立つかもしれません。
次に、F12キーを押してAlwaysColorChangeExプラグインを表示させます。
「マスク選択」を押すと、そのメイドに使われているパーツ一覧がずらりと出てきます。

ここで、身体や髪などで隠れていて不明瞭になってしまっているパーツの情報を取得するため、それを隠してしまっているパーツを一時的に非表示にする、ということをやっていきます。
隠したいパーツのチェックボックスをONにしてから、下部の「一時適用」を押すとそのパーツが非表示になります。非表示にしたらF12で一旦プラグインのUIを非表示にしてから、その都度透過でスクリーンショットを撮ります。非表示のパーツを元に戻したい場合は先程のチェックボックスをOFFにした後に「一時適用」を押せば再び表示されます。
例えば睫毛のラインを把握したい場合、「前髪」のチェックボックスをONにして「一時適用」、その後にSSを撮る、といった感じです。不足している情報分のSSを撮りましょう。衣服のマスクに関してはプラグインを使わずに複数メイド撮影側からやったほうがお手軽です。(プラグインからマスクしようとすると、身体部分のメッシュ抜けが出ることがあるので)
全裸差分も……あったほうがいいかもしれない!
とりあえずここまでできたら、COM3D2での作業は終了です。お疲れ様でした。
CLIP STUDIO PAINT PROでやること
ここから実際にお絵描きをします。と言っても感覚的には7割はポーズの模写、残り3割は自分流(3Dモデルでは表現できない線画、本来こういう風にしたかった睫毛、瞳、髪型、服装 etc.)を取り入れる感じです。でも絵を描くことには変わりはありません。覚悟はよろしくて……?
クリスタを開く
新規に好きなサイズでキャンバスを作ります。後々印刷に対応できるよう、解像度は300以上にしておいたほうがいいかも。
キャンバスを用意したら、先程撮影したSSをキャンバス上に配置していきます。
「ファイル」>「読み込み」>「画像」 からSSを選択、あるいはSSを直接レイヤーウィンドウにドラッグ&ドロップで配置できます。SSのサイズが一致していれば、すべて同じ場所にSSが来るはずです。その後は、配置したSSを全て選択して位置合わせや拡大縮小、必要であればキャンバスサイズ変更をしていい塩梅にSSを持っていきましょう。
調整が終わったら、レイヤーに名前を付けてわかりやすくしたり、レイヤーフォルダーを作成してその中にSSを全て格納したりしましょう。不透明度の調整がしやすくなります。

線画を描く
じゃあ早速描いていきます。SSから6,7割くらいのヒントがもう提示されているので、これを基に線画をこさえます。
「えっちょっと待って線画ってどうやって描くの?」という疑問が早速浮かびそうなので、ここはひとつ自分流のやり方を紹介していこうと思います……
①新規ベクターレイヤーを作成
レイヤーウィンドウになんか中抜き四角の中に立方体が描いてあるマークがあると思うので、そこから作成します。
②図形ツールで曲線を選択、入り抜きを有効にして値を指定
左端のツールの中に直線だったり曲線だったりしているマークがあると思います。それが図形ツールです。
「直接描写」タブの中に「曲線」があるのでそれを選択。ツールプロパティの下らへんに入り抜きの項目があるので展開、入り抜き影響先は「ブラシサイズ」、指定方法はとりあえず「長さ指定」として、入り、抜きと共にチェックボックスをON、入り抜き値も指定します。(値が大きければサイズの縮小幅が長くなります。描く部位に合わせて適宜調整しましょう)
③キャンバスに描く
ここから実際にキャンバスに描きます。
まず始点を決め、ペンを押し込みます。押し込んだまま終点までカーソルを持っていき、離します。最後に曲線の中間点を決めてペンをつついて曲線の完成。
割と慣れが必要な方法ですが、慣れてくると前髪のペン入れがめちゃくちゃ楽になるので是非覚えていきましょう。
④曲線の修正など
連続で曲線が必要になる箇所は、2回、あるいはそれ以上に曲線描写を分けてから、「線修正ツール」の「ベクター線つなぎ」で曲線同士をつなぎます。
それぞれの曲線の始点と終点を指定してペンを離すと……なんと!曲線同士がくっつきます!!

しかしこのままだと互いの入り抜きが残って不自然なので、「線修正ツール」の「制御点」から制御点の削除や角の切り替えを適宜行っていい感じに修正します。

⑤ひたすら描く
それではSSの情報をもとに、実際に描いていきましょうー
最初に顔から描く

そこから隣接する部分をどんどん描いていく

線画がぶつかる部分を、マスクを使って消す

最後にアウトライン部分の線の幅を太くしたり、立体感を与えるための影を加筆して……線画が一応完成!

服に関しては、材質によってはSSの通りになぞらずにしわを適宜入れていったほうがよりイラストっぽく見えるかもしれません(今回はだいぶ簡略化しています)
色を塗る
いよいよ色を塗ります。
まずはベタ塗りから
基本的に線画レイヤーより下の位置に新規ラスターレイヤーを作成します。
画面左端のツール群から塗りつぶしツールを選び「他レイヤーを参照」を選択、ツールプロパティでは「複数参照」にチェックを付け、対象を「すべてのレイヤー」あるいは「参照レイヤー」にします。ここら辺は利便性に合わせて切り替えてください。
参照レイヤーの場合、そのレイヤーの線だけを参考にして色を塗りつぶすことができます。なので、例えば前髪を塗る場合に眉毛が重なってるところも無視して全体に色を塗ってくれるということになります。適宜使い分けましょう。


参照レイヤーにしたいレイヤーを選択後、このアンテナみたいなマークをクリックすると参照レイヤーに設定されます。設定できるレイヤーは一つのみで複数設定は出来ません。


口などの、線を繋がないほうがよい場所は普通に筆ツールで塗ったりしましょう。
Tips:白色もしっかり塗りつぶす
白衣などの白いものを塗りつぶす時に「元からキャンバスが白だから塗らなくていいのでは…?」と思いがちですが、後ほど紹介するクリッピングのために余すことなく塗ったほうがいいです。塗っておかないと後で影色とかを塗るときに線画からはみ出たりして不便になるので……

上手く塗れましたでしょうか。ここから影や模様を……の前にもう一工夫加えておきましょう。
線の色を変える(ベタ塗りした色に馴染ませる)
美少女のイラストを見ていると、線の色が肌色とか髪の色とかの色相の暗いものになっていると思います。赤系だったら黒に近い赤、みたいな感じで。恐らく普段のCOM3D2のキャラメイクでも意識するのではなかろうかと思いますが、あれをすると絵にまとまりが生まれるのでそれをやっていきます。
色を変えたい線画レイヤーの上に新規ラスターレイヤーを作成します。そしたら、作ったレイヤーを選択し、「下のレイヤーでクリッピング」をクリック。するとレイヤーにピンクのマークが付きます。

これをすると、「下のレイヤーの描画されているところのみが描画対象になる」のです。なので塗りがはみ出ることがなくなり大変便利です。というわけで、筆などのツールで色替えしてみましょう。
例えば前髪のレイヤーにクリッピングした場合、前髪の線画にだけ色がかかる感じになります。

目星つけて色を選んでみたはいいけど、なんか馴染まないなーと思ったときは、上メニューバーの「編集」>「色調補正」>「色調・彩度・明度」で微調整してみましょう。

一通り着色を済ませると、全体的に暖かみが感じられるようになったかと思います。次はこの状態から影色を塗っていきます。
影色を塗る
今回は所謂アニメ塗りとギャルゲ塗りの中間みたいな感じで塗っていきます。
影色を塗るのは難しいと思いがちですが、今回の場合はトゲっぽい三角を意識すると意外と塗れたりします(もちろんどこが手前か奥かを意識することも重要ですが……)
モチベと相談してどこから塗り始めてもいいですが、とりあえず影を塗ったことが実感できる顔周りからやっていきましょう。
共通事項
塗りのはみ出しが無いように、先程ベタ塗りしたレイヤーの上に新規ラスターレイヤーを作成、そして先述の方法で下のレイヤーでクリッピングをしておきましょう。
瞳周り
まずは瞳から。一番個性が出るところです。先程トゲっぽい三角云々と言いましたが、この部位に関してはほとんど関係なくグラデやハイライトや瞳孔を足すだけでそれっぽくなります。瞳孔の向きとかは気をつけましょう。
瞳のグラデに関しては、睫毛に近くなるにつれて暗い色になる、というのが基本っぽいです。白目にあたる部分にも、睫毛の弧に沿うように影を付けましょう。睫毛は左右端にグラデを足したりすることもあります。試行錯誤してここまで出来たら……あなただけの個性の誕生です!
ついでに口にも簡単に影を、目の下あたりの頬も塗っておきましょう。

頬は最初に薄いピンク色でベタ塗り、その後に色混ぜツール(水滴が2つ並んでるマーク)の「ぼかし」を使ってぼかします。いい感じにぼかしたら、一度キャンバスを思いっきり縮小してみて頬染めし過ぎてないかの確認をしておきます。もう少し濃い色で縦線をある程度の等間隔で何本か入れておくと、可愛さが増します(当社比)

最後に肌にかかる髪影を描きます。今回はわずかに左側から光が当てられてる感じで。
筆ツールで水多めを選択、ツールプロパティでいい感じに質感を設定、髪の形状通りにブラシサイズを調整し、スッと一筆ではらいましょう。向き的にしんどい場合はキャンバスを上下、あるいは左右に反転して描きやすい向きにもっていけばいいと思います。

立体的が出てワクワクしませんでしたか?影を塗って立体感を出す、これが塗りの醍醐味だと思います。
Tips. よく使う動作をショートカットに登録する
クリスタには多くのツールがあり、初期状態でも結構なキーの数にショートカットが割り振られてるんですが、意外にも左右(上下)反転にはショートカットキーが割り振られておらず、ちょっと不便さを感じると思います。
クリスタでは ファイル>ショートカットキー設定 でショートカットキーの編集が可能で、好きなキーを特定の動作に割り当てることができます。もちろん先述の反転も割り当て可。しかも……初期設定ではテンキー部分には何も割り当てられていないのです!ヤバいですね☆ なので頻繁に使う動作をテンキーに登録しておくのは十分有用だと思います。これに気付けたのでTABMATEを買うのをやめました
髪の影
さあいよいよ影らしい影を塗ります。
個人的ですが影塗りのコツは「手前と奥を判断して記号化」することです。2012年前後くらいのアニメやギャルゲ(エッチなゲーム含む ※リンク先🔞)の絵は影塗りが単純な場合が多く、なんとなく理解しやすかったりするので、ここら辺の史料を参考にするのが良いかと思います。
線の向きに沿うように、さっきみたいに一筆で払うようにやっていきます。長すぎる影を描く場合は、何回かに分けて書いた後に消しゴムで消したりしてそれっぽく仕上げたり、入り抜きを調整した曲線ツールで塗ります(これは上級者向け)
後ろ髪で明らかに奥にあるような髪には、もう1段階暗い色で塗ると遠近感が出ていい感じです。(今回はベタ塗りの時点で塗ってしまっています)

おっと、なにかが足りない……? そう、髪ハイライトです!
いい感じの縦の位置を見つけ、そこから髪のラインを意識した曲線を描くように白色を描きます。
そこから消しゴムでいい感じに崩していったり、不透明度を調整したりするといい感じにハイライトになります。

肌の影
これも基本的に髪と塗り方は同じで、手前と奥を意識して描く!の繰り返し。頑張りましょう。

服の影
これも基本的に……といきたい所なんですが、本来であればここが影を塗る上で一番の難所です。しわの形に合わせて、それに沿った影を描いていく必要があります。が、今回は袖がない服なのでしわの影の塗り方は省略します……もうしわけねえ!
胸のふくらみがあるキャラに関しては、おちちのてっぺんの位置を考慮して胸影を塗ります。COM3D2で撮った裸差分のSSがついに約に立ちます。やったね!
ニーソを穿いてるならせっかくなのでそれっぽい影を付けましょう……是非!! アドリブで2,3本くらい払うだけでも割とそれっぽく「穿いている」感が出ると思います。

一応完成とする
お疲れさまでした。これで基本的な影塗りが終わりました。
もっと凝る絵なら、ここから2段階目の影だったりとか、反射光の分を入れたりとかいろいろしていかなきゃいけなかったりするんですが、今回は絵描きのチュートリアルに全振りというわけではないのでこれにて解説を終わりにしたいと思います……もうしわけねえ!

今後は同じ手法でよそのこや版権キャラを描いてみたりしてみたいですね。
おわりに
イラストを描くのが苦手な方でも、当記事で人物画を描く自信や楽しみが芽生えてきましたら幸いです。
じつはこの記事、アドベントカレンダーの公開予定日に間に合わず、執筆途中のものを投稿したという経歴があります。結局10日後に記事が完成となりました。改めてお詫び申し上げます。
最後までお読みいただきありがとうございました! mstdn.maud.io Advent Calendar 2020、5日目は大破さんです。
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